● うつ病のセルフチェック
看護師は、非常に高いストレスと緊張の中、長期間勤務や夜勤をしなければならない。また、少しのミスも許されず、患者さんの死も受け止めなければならない。こういった厳しい仕事柄、どんなに健康で明るい心を持った看護師さんでも、次第に心と体に不調を抱えるようになり、激しいメンタル不全に陥ることもある。
看護師という職業は、ほかの職業に比べうつ病になりやすいといわれている。特に身近な人やペットがなくなったり、激しい悲しみに襲われたとき、3週間以上も激しい落ち込みが浮上してこない場合は気を付ける必要がある。
● うつ病は人によって自覚症状が異なる
うつ病は、深刻な事態になって初めて本人が自覚することが多い。なぜなら、うつ病の自覚症状は人によって全く異なるからだ。例えば頭痛や腰痛、肩こり、めまい、睡眠障害等、人によって強く出る症状が異なる。そのため、ほかの病気や疲れをうたがい、「うつ病」とは気づきにくいのだ。
さらに、本人もまた「うつ病かもしれないな…」と感じていても、周囲に気づかれたくないとひたすら不調を隠してしまう傾向がある。気持ちがどんなに落ち込み苦しくても、笑顔を張り付け表面上「普通」を装ってしまう。そのため、周囲の人も「ちょっと疲れただけでしょう」「怠けているんじゃないの?」とつらさを理解してもらえないこともあるようだ。そのため、朝どうにも起きられず何日も欠勤が続き、休職、復帰、休職…を繰り返してはじめて「うつ病かもしれない」と気が付き、そのころにはすでに病状は深刻化してしまっているのだ。
● うつ病セルフチェック
・ 以前は楽しめていた趣味なのに、全く興味が持てなくなった
・ 強い疲労感があり、一日中だるく、夕方(勤務終了時近く)になって調子が良くなってくる
・ やる気が起きず、集中力が落ち、ちょっとしたミスばかりしてしまう
・ 以前は簡単にできていた仕事が、非常に時間がかかり困難になってきた
・ 何かトラブルがあると自分のせいではないかと思ってしまう
・ 他人の会話やニュースの内容が頭に入ってこない(極端な集中力の低下)
・ しっかりと眠ることが出来ず、起きる予定の時間から1・2時間前に起きてしまう
・ いろいろなことが突然心配になり、激しい焦燥感に襲われる
・ 自分は価値のない人間だ 自分がいるとみんなに迷惑がかかる
・ 過食あるいは拒食で体重が急激に増減した
このような心の症状のほかに、身体症状も出てくる。人によって強さが異なり、また全く意識していない場合もある。
・ 睡眠障害
特に、起きる予定時刻の1・2時間前に起床してしまうという特徴がある。うつ病と睡眠障害はともにおき、よく眠れないことで心の健康も害してしまう。睡眠障害の治療と、うつ病の治療を同時に行うことが望ましい。
・ 食欲低下
空腹感がない。食べても砂のよう。味を感じない。
あるいは、特定のものだけ過食してしまう。
・ 倦怠感・疲労感
常に全身の倦怠感がある。うつ病の特徴として出勤時が最もつらく、勤務終了時になるにしたがって体が軽くなり元気になる。(一時的に元気になるため周囲の人が築きにくくなってしまう。)
・ 体の痛み
頭痛・めまい・腰痛・腹痛・下痢・便秘・動悸・異常な発汗など、心の不調はあまり感じずに体の痛みとして症状が出ることもある。これらの体の症状は、病院を受診しても「異常なし」といわれる。うつ病の薬を飲み、治療を始めると楽になる。
これらの身体症状は、ほかの重病の前駆症状や更年期障害の可能性もある。3週間以上続く場合、まずは内科や外科の受診をして異常がないことを確かめてから精神科を受診することをすすめる。更年期障害も、人によって大変つらい症状が出ることもある。症状を楽にする薬があるので、早目に受診したほうがよい。
● 「助けて」という
うつ病の病気の症状を知っておくと、病気が深刻になる前に自分で気づくことが出来る。自分でなんとなく危ないかもしれないと感じ始めたり、以前チェックした時よりも状態が悪くなっているようなときは、友人や家族に「助けて」ということが大事だ。
うつ病は、早期発見が出来れば3か月ほどの休職と治療で全快することが出来る。ところが、ひとたび悪化してしまうと1年以上の休職と治療が必要になる。
さらに危険なのが「リワークに失敗すること」だ。一度復帰を失敗し、再びうつ病の状態が悪くなってしまうと、休職・復帰・休職・復帰……何度も繰り返してしまう。そうなると、看護師としての仕事をあきらめざるを得なくなってしまう。
「いつ倒れるかわからない。けど倒れるまで何とか働きたい」
このように思いながらぎりぎりの自分を鼓舞して毎日働いている看護師さんが数多くいる。せめて、体がつらいならちょっと長めに休みを取って「疲れを我慢しすぎない」ようにしよう。体が楽になれば、心も楽になる。そして、大切な家族のためにも自分を大事にすること。今うつ病の症状が現れている方は、未来の自分のためにぜひ治療の一歩を踏み出して欲しいと思う。
● ネットのメンタルセルフサービスも
「心の耳」等、メンタルヘルスポータルサイトが続々と出ている。うつ病を疑っている方は、そういったネットの情報を利用してチェックすることもできる。多くの看護師がうつ病から看護師を辞め、その体験を書いている方もいる。例えば、友人が苦しんでいるときにこのような情報サイトを見ていると、力になることもできるかもしれない。
また、精神科の受診をためらう方は、Skypeによる精神科医の診療を受けることが出来るところもある。人に知られることなく、診療を受けることが出来る。
ただし、早く本格的に治療することが最も効果が高く、回復が早まる。できれば上司に相談し、しかるべき診療をうけて前向きに治療に専念するのが望ましい。
治療される立場になって、初めて看護師というものを本当の意味で実感できるかもしれない。また、看護師から離れ、自分自身と向き合うことでより深みがあり、人の痛みや不安を受け止めることが出来る看護師になれるかもしれない。
看護師は、免許がある限り活躍できるフィールドは数限りなくある。まずは自分を第一に考え、行動することだ。
◆ 心の耳
http://kokoro.mhlw.go.jp/
◆「心の健康 気づきのヒント集」 厚生労働省
http://www.jaish.gr.jp/information/mental/
◆認知行動療法
*「ここれん」
http://www.brainway.jp/kokoren/index.html
*認知行動療法センター
http://www.ncnp.go.jp/cbt/about.html
*厚生労働省 うつ病の認知療法・認知行動療法
(患者さんのための資料)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf
☆ いのちの電話一覧
⇒ http://www.mh-net.com/other/ichiran4.html
* メンタル☆ヘルス☆ネット
⇒ http://www.mh-net.com/
* ジャストアンサー just anwer.精神科
精神科医が24時間受付している。15分で今すぐ回答してくれる。
⇒ http://goo.gl/XkZvpZ
* うつ・不安ネット
簡単なうつ病チェックがすぐにできる。
簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)
⇒ https://www.cbtjp.net/qidsj/
☆Skypeで精神科を受診 「みゆきクリニック」
⇒ http://www.mental.or.jp/treatment/net_treatment01.html
☆Skypeの使い方
⇒ http://www.skype-lab.com/
☆スマートフォンでのSkype
⇒ http://goo.gl/0xalx